(ワーキング・ウィメンズ・ヴォイス運営委員)
労働市場の規制緩和が進められたことにより非正規雇用が拡大しています。特に女性労働者の多くが非正規雇用で、自立し、安心して生活することが本当に困難な状況にあり、くたくたになって働く女性の悲鳴が聞こえてきます。
更に、固定的性別役割分業を前提とした制度や慣習が、女性の労働を家計の補助として低い賃金に抑え、また、セクハラやパワハラにもつながっています。そして、それらに対してどのように抗議や相談をすればよいのか知られていないことが大きな問題です。
ワーク・ライフ・バランスの実現はとても大事な課題だと思っていますが、現実は、男性は長時間労働が当たり前、女性は家事・育児の大半と労働も担い、また、いくつもの仕事を掛け持ちしないと生活が成り立たない非正規雇用労働者など、ほど遠いものがあります。
これらの課題は決して必死で頑張っている個人の責任ではありません。また、国のかけ声、個々の企業・個人の努力で解決することも困難です。労働者を代表する労働組合や経済至上主義の社会が、このような課題にしっかりと目を向けてこなかったことも事態を深刻化させた一因です。
今後、安心して生活ができる労働環境を実現する法律、制度を整備し、不当な労働条件や不快な職場環境を解決していかねばなりません。そのために、まず問題を抱えている当事者が実態を声にして、一人ひとりが学び、気付き、さまざまな立場の人たちが課題を共有し、ネットワークを作って行動につなげることで、社会を動かしていかねばなりません。